高校生男子にオススメの恋愛小説『キスまでの距離』
「まだだよ!」
思わず椅子を後ろに倒して立ち上がると、僕は大声で叫んだ。
「まだキスだけだよっ!」
おいしいコーヒーのいれ方 (1) キスまでの距離 (集英社文庫)
- 作者: 村山由佳,志田正重
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1999/06/18
- メディア: 文庫
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高校3年になる春、父の転勤のため、いとこ姉弟と同居するはめになった勝利。そんな彼を驚かせたのは、久しぶりに会う5歳年上のかれんの美しい変貌ぶりだった。しかも彼女は、彼の高校の新任美術教師。同じ屋根の下で暮らすうち、勝利はかれんの秘密を知り、その哀しい想いに気づいてしまう。守ってあげたい!いつしかひとりの女性としてかれんを意識しはじめる勝利。ピュアで真摯な恋の行方は…。
(裏表紙より引用)
今回紹介したいのは、市原隼人が主演で映画化された『天使の卵』、大人の恋愛を描いた(というかひたすら性行為を描いた)『ダブル・ファンタジー』、『アダルト・エデュケーション』など、かなり幅広い恋愛小説を書いてきた、村山由佳さんです。
ちなみに僕は『ダブル・ファンタジー』と『アダルト・エデュケーション』は途中で挫折しました…。
基本的に読者層は大人の女性となる作品が多いと思います。
そんな村山さんですが、今回お勧めする、『キスまでの距離』は高校生の男の子を主人公にしたかなりピュアな恋愛小説です。読者層の対象は、10代~20代の男女だと思います。
僕は高校生のときに読んでいました。いつかこういう恋愛がしたいなあと思ってました。もう25歳になりましたが、今でも少し憧れたりします(笑)。
女の子は、もちろん、男の子にこそ読んで欲しいと思います。恋愛小説を探している中学生、高校生男子には特にオススメしたいです。
続編もあるので面白かった人は是非続きも読んでみてくださいね。
『天使の卵』も小説としてのクオリティーは高いと思うんですが、僕的には、話の雰囲気がどうしても重いため読後感もあまりよくありませんでした。 中学生、高校生の女の子とかが好きそうな感じはしますが。
僕的には気楽に、ニヤニヤできる『キスまでの距離』をイチオシします!
山田悠介の小説の中で僕が面白いと思った小説『パズル』
君なら、どうする?
超有名進学校が武装集団に占拠された。人質となった教師を助けたければ、広大な校舎の各所にばらまかれた2000ものピースを探しだし、パズルを完成させなければならない!?究極の死のゲームが始まる!
(角川書店 より引用)
今回紹介するのは、代表作の「リアル鬼ごっこ」をはじめとした、奇抜な設定、独創的なアイデアを駆使して中高生から絶大な支持を受けている山田悠介さんの作品です。
しかし、多くの支持を受ける一方で文学的表現の拙さ等、批判の声も多いように思います。僕も山田さんの小説は何作か読みました。面白いと思ったものが2作あり、今回はそのうち1つの『パズル』を紹介したいと思います。
引用文にあるように、本作の概要はシンプル。
人質に取られた教師を救うため、学校中に隠された2000ものピースを探し出し、パズルを完成させる。48時間以内に。
僕が山田さんの作品をあまり好きになれなかったのは、文学的表現の拙さが理由ではありません。文学的表現やら、文法やら、そんなもの、僕もあまりわかりませんから。多少気づいたとしても、そんな細かいことを気にする性格じゃありません。(笑)
何が合わなかったか?
1つは、グロテスクな描写が多かったこと。もう1つは後味が良くないものが多かったこと。
本作には、ほとんどそのような描写がありません。それが、この『パズル』を楽しんで読むことができた大きな理由かもしれません。山田悠介の小説はあまり……という人にもオススメしてみたいと思って今回書いてみました。
大人と先生が大嫌いな中学生に読書感想文でオススメしたい『ぼくらの七日間戦争』
押し付け、命令ばかりする親や教師と戦うために河川敷にある工場に立てこもる中学生の話。
――そうさ。子どもはおとなのミニチュアじゃないんだ。自分たちの思いどおりになると思っていたら大まちがいだ。それを、はっきりと思い知らせてやるぜ。
明日から夏休みという暑いある日のこと。東京下町にある中学校の1年2組の男子生徒が全員、姿を消した。彼らは河川敷にある工場跡に立てこもり、そこを解放区として、対面ばかりを気にする教師や親、大人たちへの”叛乱”を起こした! 女子生徒たちとの奇想天外な大作戦に、本物の誘拐事件がからまって、大人たちは大混乱に陥るが――。何世代にもわたって読み継がれてきた、不朽のエンターテインメントシリーズ最高傑作。
みんなで立てこもる秘密基地に家から持ち寄った缶詰などの食料をみんなで食べたり、この「秘密基地」に侵入しようとする教師たちに落とし穴を仕掛けたりと、爽快で娯楽性の高い小説です。特に男子なら、誰でも1回は秘密基地的なものに憧れたときがあったのではないでしょうか?
僕は、教師が嫌いでした。えらそうに命令するからです。そして、時にその命令が理不尽だからです。上から目線で校則などを勝手に押し付けてくる教師が大嫌いでした。そのことが、僕が高校の教員になったことに大きく影響をしています。
もっとも、教員となった今では、教員の側の想いや立場もよく理解できるようになりましたが。
現在、教育界において、管理主義的な風潮が強まっていると言われています。もちろん、社会の教育現場に対する見方など、外的な変化という要因はあると思います。また、超格差社会となりつつある現在において、厳しい生徒が集まる中学や高校において、生徒を厳しく管理、コントロールしなければ学校秩序の維持ができなくなることへの恐怖は身をもって体感しています。
しかし、それだけでいいのでしょうか?
「われわれは、子どもを”いい子”にしようとしています。われわれのいう”いい子”とはなんでしょうか? それは、おとなのミニチュアですよ。つまり、おとなになったとき、社会の一員として、役に立つように仕込むのが教育なのです。(略)これは、おとな優先の発想です。身勝手とは思いませんか? われわれは、一度だって、子どもの目で世界を見たことがあるでしょうか? 子どもは、おとなの囚人ではないのです。
例えば、知らない親戚の人と会ったときに、2歳なら泣き出すこともあるでしょう。5歳くらいなら照れてお母さんの足にしがみついて隠れることもあるでしょう。中学生くらいなら、そっけない態度をとることもあるでしょう。それでいいのではないでしょうか?「ほら、挨拶をしなさい」という子どもへの投げかけは必要でしょうか?そして、それは何のために、もっと言えば誰のためにしているのか、少し立ち止まって考えてみてほしいと思います。もちろん、礼儀正しく挨拶ができることは、好ましいことだと思います。しかし、そのような大人の価値観を押し付けすぎることを僕は危惧しています。
親にとって、教師にとって子どもは操作の対象物ではないということ、尊厳ある1人の人間であるということを忘れてはならないと思います。
生まれながらの、ありのままの顔面をさらけ出す、ということを強要する化粧禁止という校則は本当に必要でしょうか?
「髪の毛を染める=不良」と捉え、生まれたままのありのままの髪の毛を強要する学校(と社会の価値観)は好ましいものでしょうか?また法的根拠はいったいどこにあるのでしょうか?
あれはだめ、これはだめという校則。ルールを守らせることが自己目的化していないか、省みる必要があると思います。
なんでも世界と比較する必要はないとは思いますが、校則に関するガラパコス化は冷静な視点で議論されるべきだと思います、学校外で。
高校教員であるわけですが、こういうアンチ教師的な本を読書感想文に書いて、それを読んだ先生の反応を見てみたいという思いがあったりします(笑)。
これを読んだ中学生、ぜひ読んで読書感想文を書いてみませんか?
追加でもうひとつ、最高に面白い小説を読書感想文にオススメします。この小説を読書感想文にオススメする教員は自分くらいかなって思えるくらいぶっ飛んだ小説です、一見。でも、素敵で面白いですよ!