すなめりくんの読書ブログ

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高校の教員です。読んで良かったと思う本を紹介していきたいと思います。

僕が2017年3月に読んだ本 11冊 の紹介

 僕は毎月10冊の読書を目標にしています。来月から教員として働く準備などに追われましたが、なんとか読書の時間を確保して目標の10冊を超える本を読むことができました。

 3月に読んだ本の紹介をしたいと思います。

 

 

1.子どもの貧困 著:阿部彩(首都大学東京教授)

  この本は数年前に読んだ本です。もう一度読みました。大学教授が書いた本だけあって、国内外の様々なデータを論拠に、客観的に日本の子どものおかれている厳しい状況を知ることができます。

 教員として働いていると、この本で書かれていることが、なんの誇張でもないことを身をもって感じます…。

子どもの貧困―日本の不公平を考える (岩波新書)

子どもの貧困―日本の不公平を考える (岩波新書)

 

 

 

2.増殖する悪意

  なんか嫌な世の中になったなあと色々と感じます。例えば、森友学園の報道でも一部メディア等で報じられてから大手テレビメディアで大々的に報じられるまでには2週間程タイムラグがあったと思います。しかし、ひとたび全てのテレビメディアが報じ始めると、異常なまでに同じ内容を繰り返していました。メディアが報道しやすい弱いものを徹底的に攻撃しているようで僕は少しウンザリしました。

 弱いものをみんなでよってたかって攻撃する。いつからこんな社会になったのでしょうか?そのことについて論じられた素晴らしい1冊です。

sunamerikun.hatenablog.com

 

 

3.自閉症の僕が飛びはねる理由

自分が見たことのない、決して見ることのできない世界を、ほんの少しだけ想像することができる1冊でした。

sunamerikun.hatenablog.com

 

 

4.謎の独立国家ソマリランド

数年前に初めて読んで、2度目です。

 あのソマリアが日本より平和で民主主義が機能している!?

そんなアホみたいな話がホントにあったんです。

未開の地を旅しているかのような感覚になりつつ、国家とは、平和とは、民主主義とは何かについて面白い考察ができる最高の1冊です。

sunamerikun.hatenablog.com

 

 

5.系外惑星と太陽系 著:井田茂(東京工業大学教授)

系外惑星と太陽系 (岩波新書)

系外惑星と太陽系 (岩波新書)

 

  僕としては、宇宙ってすげー的なレベルの内容を期待して買った本ですが、思った以上に専門的な内容に苦しみました。著者の研究テーマの最新の動向をわかりやすく紹介するというような本です。宇宙工学などに興味がある物理化学大好き高校生や、関連内容の大学に入学したての1回生あたりが読んだら面白いんじゃないかと思います。

 難解だったけれど、著者の言う地球中心主義からの脱却は面白かったです。

 

 

6.生命科学の静かなる革命 著:福岡伸一青山学院大学教授)

福岡伸一さんの生命に対する考え方がすごく素敵だと思いました。 

  興味のある方は、まず、福岡さんが書かれたベストセラー作品でもある「生物と無生物のあいだ」をおすすめします。小説のような美しさのある一冊でした。 

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

 

 

 

7.ゴリラは戦わない 著:小菅正夫(旭山動物園元園長)、山極寿一(京都大学教授)

ゴリラがとても素敵な動物であることを知ることができます。

sunamerikun.hatenablog.com

 

 

8.人びとの自然再生 著:宮内泰介(北海道大学教授)

sunamerikun.hatenablog.com

 

 

9.下り坂をそろそろと下りる 著:平田オリザ

 兵庫県城崎温泉に世界中からアーティスト、クリエイターが集まっている国際都市になっているなど、すごく熱い地方を紹介してくれる本です。

 わけのわからない日本スゲー番組より、はるかに日本を好きになれる1冊です。

sunamerikun.hatenablog.com

 

 

10.滝山コミューン1974 著:原武史放送大学教授)

 政治学者である著者が、小学生のときにトラウマとなった教育を振り返った本です。とにかく平等で、民主主義を重んじた教育です。そこに潜む闇に迫った一冊。

 教員だけではない、全ての人に読んで欲しいと思います。素晴らしい一冊でした。

滝山コミューン一九七四 (講談社文庫)

滝山コミューン一九七四 (講談社文庫)

 

 

 

11.わかりあえないことから 著:平田オリザ

 コミュニケーション能力が重要視される社会。しかし果たしてどれだけの人がコミュニケーション能力とは?と問われた際に、自信をもって答えることができるでしょうか?

sunamerikun.hatenablog.com

 

高校生男子にオススメの恋愛小説『キスまでの距離』

「まだだよ!」

思わず椅子を後ろに倒して立ち上がると、僕は大声で叫んだ。

「まだキスだけだよっ!」

おいしいコーヒーのいれ方 (1) キスまでの距離 (集英社文庫)

おいしいコーヒーのいれ方 (1) キスまでの距離 (集英社文庫)

 

 

高校3年になる春、父の転勤のため、いとこ姉弟と同居するはめになった勝利。そんな彼を驚かせたのは、久しぶりに会う5歳年上のかれんの美しい変貌ぶりだった。しかも彼女は、彼の高校の新任美術教師。同じ屋根の下で暮らすうち、勝利はかれんの秘密を知り、その哀しい想いに気づいてしまう。守ってあげたい!いつしかひとりの女性としてかれんを意識しはじめる勝利。ピュアで真摯な恋の行方は…。

(裏表紙より引用)

 

 今回紹介したいのは、市原隼人が主演で映画化された『天使の卵』、大人の恋愛を描いた(というかひたすら性行為を描いた)『ダブル・ファンタジー』、『アダルト・エデュケーション』など、かなり幅広い恋愛小説を書いてきた、村山由佳さんです。

 ちなみに僕は『ダブル・ファンタジー』と『アダルト・エデュケーション』は途中で挫折しました…。

 基本的に読者層は大人の女性となる作品が多いと思います。

 

 

 そんな村山さんですが、今回お勧めする、『キスまでの距離』は高校生の男の子を主人公にしたかなりピュアな恋愛小説です。読者層の対象は、10代~20代の男女だと思います。

 僕は高校生のときに読んでいました。いつかこういう恋愛がしたいなあと思ってました。もう25歳になりましたが、今でも少し憧れたりします(笑)。

 女の子は、もちろん、男の子にこそ読んで欲しいと思います。恋愛小説を探している中学生、高校生男子には特にオススメしたいです。

 続編もあるので面白かった人は是非続きも読んでみてくださいね。

 

 

 

天使の卵―エンジェルス・エッグ (集英社文庫)

天使の卵―エンジェルス・エッグ (集英社文庫)

 

 『天使の卵』も小説としてのクオリティーは高いと思うんですが、僕的には、話の雰囲気がどうしても重いため読後感もあまりよくありませんでした。 中学生、高校生の女の子とかが好きそうな感じはしますが。

 

 僕的には気楽に、ニヤニヤできる『キスまでの距離』をイチオシします!

山田悠介の小説の中で僕が面白いと思った小説『パズル』

 君なら、どうする?

超有名進学校が武装集団に占拠された。人質となった教師を助けたければ、広大な校舎の各所にばらまかれた2000ものピースを探しだし、パズルを完成させなければならない!?究極の死のゲームが始まる!

角川書店 より引用)

パズル (角川文庫)

パズル (角川文庫)

 

 

 今回紹介するのは、代表作の「リアル鬼ごっこ」をはじめとした、奇抜な設定、独創的なアイデアを駆使して中高生から絶大な支持を受けている山田悠介さんの作品です。

 しかし、多くの支持を受ける一方で文学的表現の拙さ等、批判の声も多いように思います。僕も山田さんの小説は何作か読みました。面白いと思ったものが2作あり、今回はそのうち1つの『パズル』を紹介したいと思います。

 

引用文にあるように、本作の概要はシンプル。

人質に取られた教師を救うため、学校中に隠された2000ものピースを探し出し、パズルを完成させる。48時間以内に。

 

 

 

 僕が山田さんの作品をあまり好きになれなかったのは、文学的表現の拙さが理由ではありません。文学的表現やら、文法やら、そんなもの、僕もあまりわかりませんから。多少気づいたとしても、そんな細かいことを気にする性格じゃありません。(笑)

 何が合わなかったか?

1つは、グロテスクな描写が多かったこと。もう1つは後味が良くないものが多かったこと。

 

 

本作には、ほとんどそのような描写がありません。それが、この『パズル』を楽しんで読むことができた大きな理由かもしれません。山田悠介の小説はあまり……という人にもオススメしてみたいと思って今回書いてみました。