こんなに読みやすい哲学入門書はない!『ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた。』
私はニーチェだ、お前に会いに来てやった
現代の京都を舞台に、17歳の女子高校生アリサが、現代に舞い降りた哲学者たちとの関りを通して、人生の意味について考える、小説。
ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた。
- 作者: 原田まりる
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2016/09/30
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ちょっと、本の表紙を見ると買う気が失せるかもだけど、普通に小説として面白い!
まず、ニーチェが現代の若者になって登場するという設定がありきたいかもだけど、良い! 登場するのは、主に19世紀、20世紀に活躍した実存主義という立場をとる哲学者たちです。ニーチェ(青年)、キルケゴール(読者モデル)、ヤスパース(医師)、ハイデガー(京都大学教授)、ショーペンハウアー(喫茶店のマスター)。
僕は、哲学の本を読んでるとカッコイイんじゃないか!!って思って幾つもの哲学入門書や哲学の本を手に取って毎回のように撃沈してきました(笑)。
そんな理解力に難ありの僕が、最高に楽しく哲学に触れることができました。もしこの本に高校生のときに出会っていたら、今は社会の先生やってたかも、と思ったりもします(笑)。
この本は哲学書を普通に読める人は別に無視してもらっていいです。
自殺に反対して、こうもいえようか。人間は、すべからく、自分みずからを単なる生以上のものにまで高めなければならぬ、そうすれば、一切の用件や出来事、快楽や苦難なども高められた内的の「我」には影響するわけがなく、すなわち、…
『自殺について』ショーペンハウエル 訳 石井立(角川文庫)
はい、ショーペンハウエルまじ意味不明。ってなって挫折した人や、僕のように哲学ちょっと興味あるけど、難しいのマジかんべんって人には超絶おすすめ!
この本読んで良かったと思うことの1つに、もう一度ショーペンハウエルの本を読んでみようって思えた事です。上記の『自殺について』なんかは意味不明で、あんまり面白いと感じなかったので、それ以来読んでこなかったんですけど、この本でショーペンハウエルが登場して(喫茶店のマスターという設定)、なんか面白そうだなあって思ったんで、また読み直してみようと思いました。
こういう風に思えることも、素敵な入門書を手に取る価値だなあって感じます。
「祝福できないなら、呪うことを学べ」
「生まれ変わるのならば、また自分でありたい、そっくりそのままリピート再生したい」
改めてニーチェは魅力的だなって思いました。
死んだ祖父が卒論でニーチェについて書いたと聞いたんですけど、ニーチェに惹かれるの、なんかあるんですかね?(笑)
【ブラックさ半端ない】これを見ても教員になりたいと思えますか?自分の子どもを安心して任せられますか?
高校の教員をしております。
学生時代の教職の講義や、教育実習に行って教員の仕事・私生活を感じることは難しいです。現状をお伝えすることで、1人でも多くの人に教員の労働状況を知ってもらい、進路実現のお役に立てればと願っております。
また、教員の労働条件の改善に少しでも繋がればと願っています。
教員の労働 5つの特徴
①「拘束時間が異常に長い」
勤務時間は学校によりますが、だいたい8:30~17:00
昼休憩を除いて1日の勤務時間は7時間45分です。
人によって(部活を持つか持たないか。分掌の種類)様々ですが、例えば僕の場合は、7時過ぎ~19時頃です。(日や季節によってかなりバラつきはあります)
②「土日が消える」
男女問わず、20代、30代の教員は例外なく運動部の顧問になります。例えば、土曜が半日練習(といっても体育館の使用の関係で午前は男子、午後は女子が使うときは教員は一日中学校にいないといけません。)、日曜が試合で一日。2日丸々働いて、もらえるお金はだいたい1日3000円程度です…。
部活によってかなり差はありますが、「今月休みが1日しかなかったわ。」的なことを言ってる教員もざらにいます…。何が一番恐ろしいかというと、それに違和感を持つことが許されない職場の空気です。
なぜなら、子どもたちのためには私生活を犠牲にすることは当然である。それが良い教員であるというのが教員の世界の常識だからです。
③「月60時間程度の残業をしても残業代はほぼ0円」
7:00~19:00勤務しているとすると、だいたいの教員は平日1日3時間程度の時間外労働をしています。3時間×20日で1ヶ月で60時間程になります。
こんだけ残業して残業代は給料の4%。1万くらい。時給に換算すれば、200円もいかないです(笑)…。はぁ。
土日は1日3000円出ますが、なんなら3000円払うんで休ませてもらいたいです(笑)。
④「プライベートが消える」
基本、地元のどこ行っても生徒や保護者と会ってしまいます(笑)。
⑤「教科指導・教材研究が最も優先順位が低くなる」
どんだけクソな授業をしても他の教員に迷惑がかからないので、 優先順位は仕事の中で最も低くなります(進学校は別?)。
最悪ですが。
もちろん、悪いことばかりではありません。こういった部分を知ることがあまり学生時代にはできないので、今回書かせて頂きました。正確には、知ることができないのではなく、そういった状況に陥った自分の将来を想像できないということだと思います。
職業として、教員を選んだ自分の10年後、20年後、生活を少しでも良いので想像して、職業選択のお役に立てればと思います。
また、このような教員の状況を1人でも多くの人に知ってほしいと願う理由は自分や教員のためだけではありません。
僕なら、とてもじゃないけど大切な自分の子供を疲れ切ってる担任の先生に安心して預けられないです。何かとよく話題になる「いじめ」ですが、担任は常にクラスの生徒の些細な変化に敏感に感じることがとても大切です。そんなこと、自分の事で精一杯な、土日もほぼ無給で働き続けてる教員が本当にできるでしょうか?
だから、僕が求めているのは給与のアップではなく、労働時間の短縮です。というか、仕事なのに労働と認められていないような状況の部活をなんとかしてほしいということです。教員じゃなくてもいいような、事務的な仕事等の負担軽減です。以上。
ちなみに、僕は教員という仕事を選んで後悔はしていません。
ここ数年、テレビ等で教員の労働の異常さがクローズアップされるようになってきました。以下のように、教員の労働問題を扱ったブログや、署名などもあります。のぞいて頂ければ幸いです。
まだ読んでいないんですけど、名古屋大学の内田良(教育社会学)の著書です。
年収80万で生活する研究者『はたらかないで、たらふく食べたい』
この本を読んだところで、きっとなんの役にも立たないと思います(笑)。
けれども、読んで後悔しない不思議な本でした。
はたらかないで、たらふく食べたい 「生の負債」からの解放宣言
- 作者: 栗原康
- 出版社/メーカー: タバブックス
- 発売日: 2015/04/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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「生の負債」というサブタイトルにつながるんですが、これは、人が生きていく上で、背負わされているものがある、ということです。今の経済とか社会の仕組みだと、お金をかせげるかというのが物差し。かせげるのがいいことでありえらい人だし、かせげなかったら落伍者。そういう尺度ができていて、それが優劣の基準にもなっています。その尺度から出てしまう人たちは反道徳というか、人じゃないという見られ方をしてしまう。人が好きなことをやっていきたいというのと、お金をかせぐことが一致する、そういう幸せなときもあるけど、大抵は一致しないと思うんです。僕だったら文章を書くとか、本を読むとかという好きなことをやって食べていきたい。
『はたらかないで、たらふく食べたい』創刊記念・栗原康インタビューより引用
この本の目次を紹介します。
キリギリスとアリ ― はたらくこと馬車馬のごとく、あそぶこと山猿のごとし
切りとれ、この祈る耳を ― 耳切り一団
3・11になにをしていたか? ― とうとう江戸の歴史が終わった
甘藷の論理 ― うまい、うますぎる!
地獄へ堕ちろ ― ヘイトスピーチか、それともスラムの念仏か
他人の迷惑かえりみず ― 心得としての高野長英
お寺の縁側でタバコをふかす ― 大逆事件を旅してみれば
豚の足でもなめやがれ ― もののあはれとはなにか
大杉栄との出会い ― 赤ん坊はけっして泣きやまない
ヘソのない人間たち ― 夢をみながら現実をある
反人間的考察 ― 歴史教科書としての『イングロリアス・バスターズ』
豚の女はピイピイとわめく ― 老荘思想の女性観
だまってトイレをつまらせろ ― 船本洲治のサボタージュ論
目次を見るだけでワクワクしませんか?(笑)
僕が一番面白かったのは、栗原さんの失恋話です。人の失恋を面白いと言うのは不謹慎かもしれませんが。
話の内容、そして文体から栗原さんの人柄がにじみ出ていて、それが一番の魅力でした。読んでも全く役に立たないけど人に勧めたくなる本でした。
余談ですが、この本を読んでホセ・ムヒカ大統領を思いだしました。ムヒカ大統領は日本人の勤勉さを称賛する一方で現代の日本人が幸せには見えないことを嘆いていました。栗原さんとムヒカ大統領、対極的に見えるかもしれませんが、根柢にある部分で共鳴するものを僕は感じました。