教師・教員志望の学生にこそお勧めしたい「嫌われる勇気」 【アドラー心理学】
アドラー心理学とは何か?
人間の可能性を信じる哲学(僕が読んで感じた答え)
だからこそ、教育関係者に読んで欲しいし、全ての人に読んで欲しいおすすめの1冊です。
本書は、アドラー心理学の研究者である岸見さんが、「京都に住む哲学者」と「悩める青年」の対話という物語チックな形式を通じて、アドラー心理学を用いて、幸せに生きるためのヒントを教えてくれる本です。
アドラー心理学の特徴は、
・劣等感に注目する心理学
・良い人間関係を築くための心理学
・幸せに生きるための勇気を得ることができる心理学。
・原因論を否定し、目的論で考える心理学
などなど。
僕がなぜアドラー心理学が好きなのか。
アドラー心理学では、原因論ではなく、全てを目的論で考えます。なので、例えば、トラウマを否定します。
幼い時に、川で溺れかけたから、それ以来水が怖くなって、今でも泳げない。
これは、典型的な原因論です。アドラー心理学では、泳げない自分を肯定するために、川で溺れたというトラウマを泳げる努力をしないための言い訳のために、今の自分が利用しているに過ぎない、と言います(めっちゃキツい)。はいそうです。僕は、泳げない自分が恥ずかしく、それから目を逸らし続けてきました(笑)。
確かに、アドラー心理学は凄く厳しいと感じるかもしれません。冷たいと感想を述べた友達もいました。けれど、僕は逆だと思います。トラウマ的なものを持ち出して、原因論的に考えている以上、今の自分は絶対に変わりません。なぜなら、過去の出来事を今の自分が変えることは出来ないから、その因果関係を崩すことは不可能だからです。でも、今の自分が過去の出来事をどのように認識をするか、ということであれば変えることができます。
アドラー心理学は、人間の可能性を信じる学問だと僕は思っています。
そういった意味で学校の教員や親など、教育に関わる人には凄く素敵な考えが詰まっていると僕は思いますし、だから教員採用試験でも問題として出てくるんだと思います。
そして、一般的な心理学というのは、科学です。
しかし、アドラー心理学は、人生の価値について問う学問です。その問いを通して、人生における幸福について考える学問です。哲学的だけど、哲学のように難解じゃない、そこがアドラー心理学の好きなところです。
アドラー心理学に関する本はこれまで幾つも読んできましたが、この「嫌われる勇気」はその中でも圧倒的に一番お勧めできます。その理由は、本の構成が、「アドラー心理学に納得が出来ない京都に住む青年」と「アドラー心理学者の哲人」の対話という形式になっているからです。
だから、よくある、研究者が学問を長々と解説するというつまらない入門書じゃなく、小説を読んでいるように、この本を楽しむことができます。
アドラー心理学とは関係はないのですが、子育てに関する本で、アドラー心理学に共感できたかたには、是非とも「子どもを信じること(著者:田中茂樹)」もあわせてオススメします。深い、根底の部分で通じ合う何かを僕は感じました。
出会うことができて心から良かったと思う本です。