すなめりくんの読書ブログ

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高校の教員です。読んで良かったと思う本を紹介していきたいと思います。

読書感想文のコピペはオススメできない?教員が教える「なぜバレるか」

なんで俺のコピペがバレてん!?

 って思ったあなた、その疑問に教員として答えたいと思います。

 

 

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なぜ、ばれるのか?

 

①あいつがこんないい文章かけるわけがない(笑)

この子がこんな文章をかけるのはおかしい!って直感が働いたときや違和感を感じた時は、ネットで文章の一部を検索します(笑)。コピペであればすぐヒットします。当たり前ですよね、あなたがネット検索をして見つけたもの、他の人もすぐ見つけます。

 

②したがって、しかしながら…的なこんな接続詞をあいつが使うはずがない!(笑)

お前がそんな難しい表現使わんやろ!というタイプです。僕は言葉遣いで違和感を感じることが一番多いです。

 

③あいつ、犬飼ってたっけ?

主人公と犬の感動的な物語を読んで、私も飼っている犬と過ごす時間を大切に噛みしめたいと思いました( ;∀;)。

っておい、ちょっと前に俺に犬嫌いでねこ派で、ねこを飼ってるって言ってたやんけ(笑)。という設定に矛盾があるパターン。お兄ちゃんおらんのにお兄ちゃん登場したりとか。などなど。

 

 

 

 

まとめると、コピペがバレたくない人は、多少なりともアレンジしましょう。その際に大切なのは、自分の言葉に変換すること。

しなしながら、ゆえに、なんて接続詞あなたは使いますか?普段使ってる表現に直して書きましょう。あとは、普段漢字をあまり使わないのに、やたらと漢字が多いのもバレるポイントです。そして、ネット検索で引っかからないように、言葉を少しずつ変えながら書くことがバレないために大切でしょう。…

 

 

 

 

 

 

 

 最後に教員としての思いを少しだけ書かせてもらえればと思います。僕も高校生の頃は人権作文や読書感想文は面倒で適当にしてたと思います。そりゃそうです。でも、この仕事をしてる立場として、短くても、ヘタでもいいから、自分の言葉で書いてくれると嬉しいです。

 受験に役に立つとか、意味があるとか、そんなんどうでもいいです。

 ただ、その子のことを知りたい、あるいは話しかけるネタになればいいな、そんな気持ちで僕は読んでます。あいつ、こんな風に感じてたんや、って職員室でニヤニヤしながら読んでたそれが、実はコピペだったとかは切ないです(笑)。

 

 一般に、読書感想文は、

①本のあらすじ

②感動したところ、印象深かったところ

③ ②をうけて、得たものや自分の中での変化

こんな感じで書けばいいと思います。

 

 

でも、そんな綺麗に書こうなんてしなくていいです。

犬死んだ話辛かった。昔拾ってきた子猫を必死に看病したけど死んでしまったときのこと思いだして辛かった。動物捨てるやつマジで許せんわおれ。(読書感想文)

数行でもいいです。

今日はお盆で広島のお祖母ちゃんお爺ちゃんに久しぶりに会ってきた。小さい頃はよく空き地で野球とかしたけど、今日行ったスーパーの階段上るのすごいしんどそうで、後ろ姿も心なしか小さくなった気がした。電車とか少し立ってるだけでも辛いやろなって思ったわ。(人権作文)

 こんなんでもいいです。いい文章作ろうとか、しっかりしたものじゃなくても、その子の言葉で数行でもいいから書いてくれてる方が僕は嬉しいです。

 

担任として、量が少ないから書き直しって言うかもしれませんが(笑)。

 

 

 

そして、やっぱり読書好きの教員としては、嫌々かもだけど、読書のきっかけになってくれたらと願ってしまいます。

もし、コピペ感想文書いて、担任の先生に残念な気持ちになってほしくないなと思ってくれたら、なんか1冊読んで、感じたことを書いてくれたら嬉しいです。

 

最後に僕のオススメの本をいくつか紹介して終わりたいと思います。

数時間で読める、読みやすい本ばかりなので是非!

 

【青春系】

sunamerikun.hatenablog.com

sunamerikun.hatenablog.com

 

 

 

【恋愛系】

sunamerikun.hatenablog.com

sunamerikun.hatenablog.com

 

 

 

【ミステリー系】

sunamerikun.hatenablog.com

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部落差別で苦しんでいる人々の希望となる1冊「結婚差別の社会学」 著:齋藤直子

被差別部落出身者との恋愛や結婚を、出自を理由に反対する「結婚差別」。部落出身者との結婚をめぐる家族間の対立、交渉、破局、和解などのプロセスと差別の実態を、膨大な聞き取りデータの分析から明らかにする。同時に、結婚差別の相談・支援活動の事例から「乗り越え方」のヒントを探る。 (本書の帯より引用)

 

結婚差別の社会学

結婚差別の社会学

 

 

著者の齋藤直子さんは、社会学者の岸政彦さんの「連れ合い」ということのようです。

岸さんの本が素敵なように、齋藤さんの本書もとても素敵な本でした。ぜひ、1人でも多くの方に、この本の素敵さを感じてもらえればと思い、1年ぶりくらいにブログを書くことにしました。

 

 

おすすめの対象としては、

・学校での部落差別の学習が、部落の歴史などばかりで、「いま」どうなっているのか知りたい人。

・人権HRでの部落学習に困っている教員

・結婚というものに人生で関わる可能性のあるすべての人

 

 

 

 

 

正直、部落差別を学ぶことは大切だと一方ではわかりつつ、あまり積極的になれない自分がいます。それは、自分の中にある差別意識なのかもしれません。差別はどれだけ苛烈で、大変だったか、それが今もこんなに激しく差別されてる実態があって、だから、差別を学び、みんなで乗り越えましょう!! 的な感じが少ししんどいんです。今でもその感覚あります。

そんなにも今なお差別は残っている的な部分を強調したら、余計に部落に関わりたくないという感じを社会に与えないのかなあと思ったり。

 

 

そんな僕が、この本を進めたいのは、これまでの僕が知ってる部落に関する本とは決定的に違うところがあるからです。

それは、これまでの部落の本が、いかに差別の実態が厳しいか、当事者が辛い思いをしていたか、にフォーカスが当たっていた(と少なくとも僕は思ってます)のに対して、この本は、こんな結婚差別に出会い、それをこのようにして乗り越えました。という具体的な差別と向き合った当事者の「プロセス」が描かれているのです!

 

荻上チキさんのコメントがそれを象徴しています。

僕も、結婚差別の相談をされたことがある。当時この本が出ていたなら、間違いなくこう言っただろう。「この本を読むといいよ。君の力になってくれるから」(本書の帯より引用)

 

 

 

悲しく、辛く、厳しい差別の当事者のお話ではなく、その差別をどのように当事者が向き合って、乗り越えたか(乗り越えようとしたか)を描いており、そして結婚差別の問題を類型化、分類したうえでの齋藤さんの考察を読むことが本当に勉強になりました。

話の中には、結婚が破談になったケースも含まれています。親と縁を切って20年後に親と和解したケースなど本当に多様な事例が紹介されています。本を読めばわかりますが、10組のカップルがいれば、10通りの状況があり、こうすれば良いという答えを明示してくれる本ではありません。けれども、この本が、現在進行形で結婚差別の問題に苦しんでいる人や、将来その問題に直面するのではないかと危惧している人への希望になるのではないかと思ってます。ぜひ、手にとって頂ければと思います。

 

僕としては、将来自分や自分の大切な人が部落差別に関する結婚差別に直面した時に、この本を読んだ経験は間違いなくプラスになるのではないかと感じています。

 

 

踊り狂う仏教『死してなお踊れ 一遍上人伝 著:栗原康』

家も土地も財産も、奥さんも子どもも、ぜんぶ捨てた一遍はなぜ踊り狂ったのか

死してなお踊れ: 一遍上人伝

死してなお踊れ: 一遍上人伝

 

踊り狂うほど、民衆を熱狂させた、一遍上人の稀有な魅力を、瑞々しい栗原さんの新鮮な文体で描いた、最高に魅力的な力作! (瀬戸内寂聴氏)

栗原康の言葉を通せば、教科書の中のあの人もこの人もまるで旧知の悪友のよう。一遍と踊りたい、朝まで、床が抜けるまで!(朝井リョウ氏)

 

 偶然本屋で見つけた栗原康さんの 『はたらかないで、たらふく食べたい』を読んで以来、僕は栗原康さんのファンになってしまいました。栗原さんの専門の思想的なことは僕には全くわからないし、あまり興味もないんですが、とにかく文体から、素敵な人柄が伝わってきて、好きなんです。

 

栗原康さんの素敵な人柄の一端を感じてもらえればと思い、政治学者の白井聡さんとの対談を紹介している記事を見つけました。

cakes.mu

 

 

通学中のエピソードもなかなか強烈です(笑)

bunshun.jp

 

 

 

 

 

 仏教って僕の中で葬式して、墓立てて、お盆とかにブツブツ言って、そういうときに高い金を得る奴ら的なイメージがありました(笑)。大変失礼なこと言っちゃってますが。

 そんな僕も旅行なんかの際には寺にちょいちょい行きます。あれってなんなんですかね。別に仏教興味ないのになぜか旅行で行くっていう。入館料的なものを払って資料まで見る(興味ないのにも関わらず)。

 これって僕だけですか?(笑)。

 

あんまり神道・仏教共に良いイメージがなかった僕ですが、踊り狂って阿弥陀仏浄土教を広めた一遍をコミカルに紹介したこの本を読んで、一遍ヤバいってなりました!

四天王寺当麻寺、そして何よりあとがきで紹介されていた六波羅蜜寺にめっちゃ行きたくなりました!!

新しいことに興味を持たせてくれて栗原さんありがとう! 一遍さんありがとう!

 

 

 ちなみにこの本で一番面白かったのは、あとがきでの失恋話です。オチに爆笑しました。『はたらかないで、たらふく食べたい』で一番爆笑したのも栗原さんの失恋話です。

人の失恋で爆笑ってのは失礼な話なんですが、傷ついた体験を、こんな風に書けるのも栗原さんの魅力だなあと感じます。

 

 

 

ぜひ、『はたらかないで、たらふく食べたい』読んでみてください。最高です。 

sunamerikun.hatenablog.com