【中学生の読書感想文におすすめ】『4TEEN』青春とは、人生の友とは何かを感じる1冊
東京湾に浮かぶ月島。ぼくらは今日も自転車で、風よりも早くこの街を駆け抜ける。ナオト、ダイ、ジュン、テツロー、中学2年の同級生4人組。それぞれ悩みはあるけれど、一緒ならどこまでも行ける、もしかしたら空だって飛べるかもしれない――。
友情、恋、性、暴力、病気、死。出会ったすべてを精一杯に受けとめて成長してゆく14歳の少年達を描いた爽快青春ストーリー。
(裏表紙より引用)
僕が読んだのは、何年も前で、たぶん大学に入った直後だったと思います。この作品は日本で最も権威ある直木賞を受賞した作品ですが、著者自らあとがきで、
この作品は直木賞が代表する文学の重力から、完全に自由で軽やかな小説なのだ。
と書かれているように、直木賞っぽくない感じが僕もしました(笑)。ネットでも結構賛否両論あって、登場人物に全くリアリティを感じなかったと辛辣な感想を書いているものも目にしました。けれども、僕はこの小説からほとばしる瑞々しさがすごく好きです。
あとがきで石田さんが
少年たちの生きる力、成長する力を信じて、書くことをたのしみながら一冊の本を仕上げる
とありましたが、まさにそんな小説でした。
なぜ僕がこの小説に魅力を感じているのか、それが言語化されているものを見つけたのでご紹介させていただきます。
新潮社文庫の「4TEEN」公式サイトに作家の森絵都さんの書評です。
単純な話、すべてをわかちあうには、私たちは個々の経験を積みすぎてしまった。恋。挫折。反発。和解。絶望。別離。誰もが味わうそれらを一通り経験し、すでに私たちは二巡目や三巡目に入っている。何もかもが新鮮だった一巡目の驚きや興奮、しびれるような感触。誰かに伝えたくて、わかってほしくて、わかりあいたくてしょうがなかったあの狂おしい衝動も、すべてを笑い話にする術に長けた今の私はいつしか忘れていた。
石田衣良氏の『4TEEN』を読んで、久々に思い起こした。一巡目の世界の初々しさと、生々しさと、痛々しさを。
すでに二巡目、三巡目に入っている僕らや、おっさん世代にこそ、読んでほしいとも思います。
以下のサイトに森絵都さんの書評が全文載っています。この小説の魅力がすごく伝わってくる素敵な書評ですので、一度ご覧ください。